2:むせ返るほどに濃い血の匂いが立ち込めている。殺された者たちの、痛み、苦しみ、怨嗟の声が身体にまとわりつくようだ。
3:カラスの群れが不快な鳴き声をあげる。無造作に突き立てられた刀は誰の墓標だろうか。死して屍拾う者なし。
4:びょうびょうと風が吹き付ける。かつての剣豪たちの修行場だろうか、無数の剣撃の跡の残る巨岩を包み込むように、大樹の根が覆っている。
5:壁が倒れ、天井が崩れ落ちた仏堂。朽ち果てた仁王像を薄い月明かりが照らしている。その顔に浮かぶは、怒りか憐れみか。
6:人が足を踏み入れるのを拒むかのように巨木が生い茂る古き森。木々は何を隠そうとしているのだろうか。
7:朱塗りの橋のたもとに、誰かが立っている。この世とあの世を繋ぐ三途の川の渡し守だろうか。
8:静謐な竹林。風がやみ、無音の時が流れる。明鏡止水。
9:大小様々な大きさの地蔵が並んでいる。手入れをする者がいないのか、苔むし、無惨に砕け散ったものも多い。
10:あかね色の鳥居が無数に立ち並ぶ古道。弱き者は神にすがり、強き者は神に挑む。
11:森の中に不意に現れた簡素な庵。誰が住んでいるかは分からぬが、焚き付けた香のかおりが微かに残っている。
12:青々とした木々がざわめき、滝の音が響き渡る。水しぶきの中に小さく虹がかかり、一瞬だけ殺伐とした現実を忘れさせてくれる。