K県の山奥、全寮制の高等学校。白亜の校舎が湖面に映る、私立朝倉女学院。
外界の淀みから少女達の清純を守るように、その学院はある。
……けれど、彼女らの静かな午睡のひとときは、もうおしまい。
綺麗なものばかりを集めたはずの箱庭に異物が紛れ込んだから。
小さな綻びと様々な思惑が交差した果て。「あの子」の亡骸が夜の水面に浮かぶ。
死んだ「あの子」は美しい。――たとえ腕が無くても、足が欠けていても。
『白羊の群れで、黒い染みは目立ツわ』
『あの子ノ恋は、酷く間違っテいたノ』
『アナタさえ、この学院に来ナけレば』
ひそひそ、くすくす、
少女の影ガ蠢キ、鳴き声ガ湖面ヲ揺ラす、
忍術バトルRPGシノビガミ「儚い羊たちの楽園」