人は夢を求める生き物だ。
ある者は求めた、尽きること無き無限の財を。
ある者は求めた、全てを思うがままにできるだけの権力を
ある者は求めた、誰もが羨む絶世の美女を。
ある者は、ある者は、ある者は…………
例え人が否定しようと、必ず人は夢を見る。
例えそれが夢を否定するリアリストでも、例えそれが全てに絶望した人の形をしたナニカとしても、幼き頃に人は必ず夢を見る。
ただ、時がその夢を砕くのだ。
道理を知り、世界を知り、そして現実を知る。
されど夢を忘れない者もいる。
幼き心を忘れず、いつまでも夢を見続け、夢を求め歩みを止めない者もいる。
傍から見ればそれは馬鹿らしいことなのだろう。夢とは叶わないからこそ夢なのだ。
現実から目を背け、叶うことなき夢を求める者を、人は愚か者と嘲笑う。
これは、夢を失う物語である。