ハグレモノ。それはどこの流派にも属さない……あるいは属せなかった人たちの集まり。
特にハグレモノになりやすい、初期の忍者覚醒者たちは、ろくな教育も受けられずに途方に暮れる場合が多かった。
また、諸事情によって流派にいられなくなった者もいる。
大切なものを殺された、宝物を奪われた、そもそもなんか気に食わない。千差万別な理由で自分の流派に見切りをつけ、野に下った者たち。
そういった忍者は往々にして放置され、うっかり忍界の禁を犯し、六大流派のどこかから粛清されたり、追い忍に追討され、討伐されるのが常だったが……。
それを哀れに思う者たちがいた。
名は真幌星家。ハグレモノ忍者の中でも、まぁまぁ大きめな勢力を持つ慈善事業団体である。
彼らは忍者に覚醒したものの、特定の師などおらず、どうしたらいいのかわからない初期忍者覚醒者たちを保護し、最低限忍界で生きて行けるだけの教育を施す互助組織となった。
──────────────────────────
さて、そんな真幌星家ではあるが、当然のごとく順風満帆な運営状態ではない。
力の使い方を知らなかったり、諸事情で流派を抜けた個性的な面子が、各地から集まってきてしまっているのだ。
毎日何かしらのトラブルが起き、何かしらの騒動に発展している。
さて、本日の騒ぎはというと?
「誰かが私のプリン食べちゃったぁあっ!」
そんなPC1の悲鳴から始まった。