何かが変わろうとしていた。
舞い散る紅葉に彩られる京の都
暫時の暇、影の世界から身を退く最中に起こるは「天変地異」
地は揺れ、空は荒れ、山は嘶き、都は妖で満ち溢れる。
行かなくては……
忍務を前に膝が笑う。
たとえ、嘘で塗り固められた欺瞞に満ちた安寧だとしても
居心地の良い夢から醒めたくはならない。
汗を滴らせ奔走する忍と擦れ違った。
自分は何をしていると罪悪感で歩みが止まる。
いや、大丈夫、間違ってはいない筈だと思い聞かせる。
「 。」
誰かが名前を呼んだ。
後ろ髪を引かれる想いで今一度振り返る。
儚く、脆い、偽りの日常に終わりの時が差し迫っていた……
シノビガミシナリオ「幽けき秋彩の蜉蝣」
――大丈夫。
その声は、あの日と同じように優しさで満ちていた。