弥生と呼ばれる少女がいた。
彼女は「時姫」の名で知られる比良坂機関がつくりだした対妖魔用呪術兵器だ。
「時姫」は自らの命を贄として儀式を行うことで、半径50キロ以内にいる中級以下の妖魔をすべて死滅させるという力を持つ。
一年前、北陸にある地方都市、造井(つくい)市に妖魔「紅蓮」が現れ、大量の死者がよみがえるという事件が起き、彼女の力を発動させることが決定された。
儀式までの数日間、「至天王」と呼ばれる凄腕の忍たちが弥生の護衛につくことになった。
……しかし、忍務は失敗に終わった。
「時姫」と「至天王」の一人「嵐王(らんおう)」が「紅蓮」に殺され、多くの犠牲者を出した後、「紅蓮」は別の忍者たちによって滅ぼされた。 造井市は人の住めない廃虚となり、任務を果たせなかった「至天王」の生き残りは、皆屈辱の一年を過ごしていた……。
――それから一年後、現在。あなたたちの物語が始まる。