江戸時代。
朝顔の季節。
あなたたちはとある裏長屋で暮らしていた。
この季節になると、長屋中に見事な朝顔が咲くことから、この長屋は「朝顔長屋」と呼ばれている。
店子(借家人)の面々は個性あふれる者たちばかり。
そんな中に「織姫」という愛称で親しまれている女が一人いた。
彼女の名は「お清(きよ)」。
美丈夫な機織り職人である。
七夕の時分になると、裁縫の腕を上達させたい客がこぞって彼女のもとを訪ねる。
中には、彼女の美貌を拝みに来るだけの者もいるだろう。
今年もそうだった。
みなから愛され、慕われている彼女。
そんな彼女が、死んだ。
七月七日、井戸浚えの朝だった。
年に一度、長屋の住民総出で井戸の掃除をすることになっているが、そこに浮かんでいたのは、すっかり青ざめた顔をしたお清だった。