街角にひっそり戸を開く喫茶店「銀時計」。
ちょっと重めの戸を引いてくぐれば、珈琲と自慢の一皿の香りが心地よく鼻孔をくすぐる事だろう。
だが、何事にも終わり訪れるモノであり、ある日閉店の報せが張り出されることとなる。
年老いた店主は未だ意気軒昂なれど、体の節々は痛み、自慢の料理の味に微かなブレが生じてしまったとの事であり、常連客達も馴染みの味が無くなる事に一抹の寂しさを感じつつも、仕方ないかと納得していた。
しかし、のっぴきならない理由からどうしようもなく受け入れ切れない者達もいるようで……?
これは、一人の料理人が積み重ねた掛け替えのない味を巡ったひと悶着の物語。
シノビガミ「想い出の味を今ここに。」
煮詰めた想いが溶け込むは名店の一皿の中。