徒桜(あだざくら)

タイプ:特殊型

人数:4

リミット:3

舞台:現代編/退魔編

プライズ:封印の桜刀,封解の玉

ボス:熊襲(くまそ)

製作:屋見

ツイート

はじめに

このシナリオのレギュレーションは現代編/退魔編です。
ただし、ゲームマスターの判断によって、時代背景などは変更しても構いません。

このシナリオは、PC達の使命や選択肢によってキャラロスト(殺害)要素を含みます。
なので、プレイヤーにはキャラロストを了承の上、パラレル扱いにするのか、それとも他者に力(功績点)を引き渡すのかは、ゲームマスター判断か仲間内での相談などで決めることを推奨します。

「封印の儀式」の詰み条件は、メインフェイズ中(クライマックスになるまで)に「桜印の神子」の死亡、かつPCの誰か1人の完全なる死亡です。
なのでメインフェイズでPCが生命力0になった場合は、まだ完全に死亡していないとし、倒したPCの取得物にするか、クライマックスフェイズでは生きているが最終的に意思表示だけで殺されるにしても良いかもしれません。
作者としては、全PCクライマックスフェイズまで生き残ってくれると期待しますが、万が一はありますので、その場合はゲームマスターの判断で遊んでください。
ゲームマスターが難易度上げたいなら、詰みにしても構いません。
ちなみに「桜印の神子」は、メインフェイズで生命力0になった場合はいかなる状態でも完全なる死亡とします。

このシナリオでは、PCは「100歳以下」を推奨としています。
100歳以下というのは、100年ほど前に起きた一世代前の封印の儀式を知らないためです。
どうしても100歳以上の鬼の血統にしたいということならば、ゲームマスターの判断で後天的に痣が発現した、一世代前の封印の儀式には五家が揃っていなかった、一世代前の封印の儀式にも関わっていたが記憶を失っている、水面が事件を起したのは一世代前よりも以前だなど、秘密や使命などを改変してくれても構いません。
なお、推奨に書いている流派はそうであってもなくても構いません。ハンドアウトの考え方として、その流派っぽい程度の理由です。

このシナリオでは、調査できるNPCと秘密が多めなので、リミットの3サイクル終了までに全ての秘密を取得することは困難な設計となっています。
しかし各PCが本当の使命を達成するために全ての秘密を取得する必要はなく、余程のことがない限りクライマックスフェイズで何も出来ない程情報が集まらないということはないと思いますので、取得できていない秘密がシナリオ終了時にあるのが仕様となります。
全PCが情報が集まっておらずクライマックスフェイズでどうしようもなければ、ゲームマスターの判断で4サイクル目をおこなっても構いません。(※3サイクル目後に「満月の日になったが、情けない結果になりそうか。夜まで時間が少しある。最後まで手を尽くせ」とか里の長に伝えさせると良いでしょう)

このシナリオの舞台となる「桜咲の地」は小さな集落で、翁の屋敷は山の奥にあり、少し下がったところに商店街や住宅がいくつかある程度です。
シーン表を使用する場合は、「シーン表(p236)」を使用してください。

このシナリオはテストプレイ等を行っていないので、不便や納得できない部分があれば改変・改造推奨です。
また、「偽五家を入れたい」等の秘密の改変、「実は藤野がラスボス」等のNPCの役割変更シャッフルなどは好きに行ってください。

背景

桜の木が山中に植えられた奥地にある「桜咲(おうさき)」の地では、数百年という長い間「熊襲(くまそ)」という妖魔を幾度となく封印し続けてきた。
話は十数年前に桜の5枚の花びらを模した痣を持つ「桜印の神子」が生まれたことから始まり、次第に熊襲の封印が弱まり世界に災害が頻発するようになった。
刻一刻と世界の破滅が近づく気配に、熊襲の封印が完全に解けてしまう前に再度封印を行うことを決めた「桜咲の地」は、はるか昔から神子を守り見張る封印の担い手である一族であるPC達を呼び集めた。
PC達の一族もまた桜印の神子に呼応するように、桜の花びらの1枚を模したハートのような痣を持っていた。
PC達は「封印の儀式」が行える赤い満月の夜まで「桜印の神子」を守り抜き、言われた通りに封印の儀式を行うのか。
それとも、もう1つの道、封印の担い手である桜の花びらの欠片を持つ一族の子孫であるPC達+水面の5人を犠牲にして封印の儀式を行うのか。
それはPC達次第である。

「封印の儀式」の詳細

封印の儀式を行うには、プライズ「封印の桜刀」の真の力を引き出し、それで熊襲を直接攻撃しなければならない。
封印の為の様々な条件は、このプライズ「封印の桜刀」の力を引き出す条件と言っても過言ではない。

条件①赤い満月が真上に来る夜半頃
 桜咲の地では数十年に一度気象状況が重なり、満月が真上付近に来る(南寄りですが、その日の昇る高さとしては一番高い)時間帯である深夜零時前後の一時間に、月が赤く見えることがある。
 その時でなければ、「封印の桜刀」の真の力を100%引き出すことができない。
条件②桜の花びらの痣を持つ生贄の死亡
 前提条件として、これは上記の赤い満月が見えている状態でなければならず、他の日に死亡しても真の力を引き出す生贄にはならない。
 桜の花びらの痣を持つ生贄なので、花弁5枚の痣を持つ「桜印の神子」1人、もしくはPC達と水面の桜の花びらの花弁を1枚ずつ痣に持つ五家の5人でも可能。
 (一応設定上、この1枚花弁の痣は、それぞれ五家で角度などが違い、5人を合わせて桜印の神子が持つ5枚花弁と同じ痣が完成するようになっている。また、痣は一族全員に現れるものではないので、花弁の痣がない一族の者を生贄にしようとしても意味がない)
条件③真の力を発現させた状態で熊襲に攻撃を当てる
 真の力を発現させたプライズ「封印の桜刀」で、熊襲に攻撃を当てることで、封印が発動する。
 つまり封印を重ねがけできない上に、封印を再度行うためには熊襲の封印を一度解かなくてはならない。
 また生贄となる者以外に、攻撃を当てる者が必要になる。
 (一応想定として、神子生贄ではPCたちが、PC生贄での発動では神子が、神子・PCどちらも死亡の場合は翁が封印を行う。PCたち、神子、翁が、封印の桜刀を使用する時点で死亡していることは少ないと思うが、全員死亡している場合は翁の部下などを登場させると良い)
 (翁の秘密は一見妖魔側にも見えるように書いてあるが、実際には封印のために必要な行為である)

裏設定(昔話)

プライズ「封印の桜刀」は、元々桜の1枚花弁のような痣がある五家の人間が1人ずつ生贄になるのが、正攻法だった。
一族の中で痣が出る人間は3世代に1~2人程度だが、その痣が出る時は封印の儀式が必要となっている時でもあり、生まれた時点で痣を持っていれば高い確率で死ぬことが義務付けられてしまった。
最初は封印の担い手として責任感で再封印と封印の守りを行っていた五家は、時代が進むうちに比良坂機関によって世界の滅びを起させない生贄として「桜咲」の地に閉じ込められ管理される形になった。
更に時が流れ血族の者を生贄に差し出すのを疎んだ五家は、斜歯忍群の手を借りて人工的に生贄としての素質を集約した生贄の血族(桜印の神子)を作り出すことに成功した。
生贄となる運命を回避できた五家だったが完全に逃げることはできず、今度は生贄の血族を守り監視する役割を与えられた。
それは、生贄の血族が逃げ出し生贄としての役割が五家に回ってこないようにするためであり、いざという時に五家が生贄になるためでもあった。
その事実は、生贄の役割を誰かに押し付けた罪の意識からか秘匿とされ、そこから400年ほどの月日が経ち人々の記憶からは完全に忘れ去られた。

次に話が動いたのは、現代から100年ほど前、一世代前の桜印の神子の話になる。
この時、水面と桜印の神子が幼少期から繋がりがあり、桜印の神子が犠牲になる事に疑問を抱いた。
そして、失われたと思っていた古文書から「五家が本来は生贄となる存在だった」という事実を知った水面は、本来の五家が生贄となり桜印の神子が生き残る道を目指したのだった。
だが、現代よりも閉鎖的で保守的だった時代では理解を得ることができず、桜印の神子は死に、仲間だった五家の人間の手で水面は絶望の淵で殺される事となった。
PC3が与えられた使命は、この時に水面が古文書を発見したことがきっかけだったのである。

使命の達成による功績点の分配

このシナリオでは、本当の使命が「◯◯かつ、○○」のように2つ設定されているPCが多いので、使命の達成による功績点3点をどれを達成したかによって分配する形式にしようと思います。
功績点は加算式とし、最高点で3点になるようにしています。また、途中で詰んでしまった場合でも、クライマックスフェイズで何か達成すれば1点与えられるようにはしています。
使命の達成による功績点の分配は、プレイヤーに初めから伝えても構いませんし、質問されたら答えても構いません。
また分配方法は、ゲームマスター判断で変更しても構いません。
PC4以外のPCは、シナリオ終了時に生存しているかどうかは本当の使命達成に関係ありません。ただし、メインフェイズ時点で敗北してしまった場合は、本当の使命はどうなっても不達成でも良いかもしれません。(※この辺はゲームマスターのお好みです)

▽PC1
【本当の使命】
桜印の神子をクライマックスフェイズまで生存(生命力0にならない)させ、かつ桜印の神子による封印の儀式を完遂させること。
【分配】
桜印の神子(春香)がクライマックスフェイズ開始時まで生存→1点
桜印の神子の死による封印の儀式を完遂させる→2点
桜印の神子がメインフェイズで死亡してしまった場合、五家の死による封印の儀式を完遂させる→1点
【補足】
PC1は桜印の神子による封印を幼少期から刷り込むように教えられてきたハンドアウトのため、桜印の神子の死による封印が目指すべき使命となる。
しかし、桜印の神子がメインフェイズで死亡した場合は、その時点で詰みとなってしまうので、救済として五家の死による封印の儀式完遂で1点の功績点を分配する。
(※ゲームマスターの判断で、「封印を桜印の神子によるものに指定しない」にしても良いですが、そうするとPC1の使命達成条件が他のPCより圧倒的に簡単になってしまいますので、ご注意下さい)

▽PC2
【本当の使命】
桜印の神子である「春香」をシナリオ終了まで生存(生命力0にならない)させること。
【分配】
桜印の神子(春香)がシナリオ終了まで生存→1点
桜印の神子が生存状態で、五家の死による封印の儀式を完遂させる→2点
桜印の神子がメインフェイズで死亡した状態で、五家の死による封印の儀式を完遂させる→1点
【補足】
PC2は桜印の神子を生存させることを重視しているので、桜印の神子の死による封印の儀式の完遂では功績点を得ることはできないとする。
桜印の神子がメインフェイズで死亡した場合は、その時点で詰みとなってしまうので、救済として五家の死による封印の儀式完遂で1点の功績点を分配する。
桜印の神子がシナリオ終了まで生存と、五家の死による儀式を完遂で、3点満点である。
このPCにはあえて封印の儀式の完遂は使命に入っていないが、封印の儀式が完遂しない事には桜印の神子である春香もいずれは死んでしまうので、五家による封印の儀式も完全な使命達成には必要なことである。
なお、桜印の神子がシナリオ終了まで生存で、五家の死による儀式が完遂されなければ1点のみの功績点になる。(いずれ世界が滅びて春香も死んでしまうので。これは、五家の誰かがメインフェイズで完全に死亡してしまった際に詰まないための救済。ゲームマスターの判断で、この本当の使命では春香が生存の方が得点高いだろうと思うのならば、春香生存2点、五家封印を1点に変更しても良い)
その場合、PC2は「熊襲」の生命点0にし、「春香」を戦闘から逃がさなくてはいけない。

▽PC3
【本当の使命】
メインフェイズが終了するまでに手の甲にハート(桜の1枚花弁)のような痣を持つという秘密を獲得して「五家」の五人を特定し、かつ封印の儀式を完遂させること。
【分配】
メインフェイズが終了するまでに「五家」の血族五人を探し出す(PC4人の秘密を取得する+水面の秘密を取得する)→2点
封印の儀式を完遂させる→1点
【補足】
PC3は五家を見つけることの方が難しいので、封印の儀式を完遂する事よりも五家を見つけることの方が功績点を高くしている。
そのため、封印の儀式は、桜印の神子の死、五家の死、どちらの封印方法で完遂しても良い。
なお、五家を見つけるというのを「水面の秘密を取得する」だけでなく、「PC4人の秘密と水面の秘密取得」にしているのは、本当にPC4人が五家である証明が必要だからである。(秘密に「本当は五家ではない」と書いてあるのもあり得る状況なので、条件として完全に証明する秘密の取得を求めている)

▽PC4
【本当の使命】
封印の儀式を完遂させ、かつシナリオ終了時まで自分が生存(生命力0にならない)すること。
【分配】
桜印の神子による封印の儀式を完遂させる→1点
シナリオ終了までPC4が生存(生命力0にならない)する→2点
【補足】
PC4は自分が生存することのみを目的としているので、シナリオ終了するまで生き残るだけで本当の使命は達成する。
しかし、封印の儀式を達成できないと、熊襲から逃げたとしてもいずれ死んでしまうことになるので、完全に使命を達成するためには桜印の神子による封印の儀式の完遂が必要となる、としている。
なお、桜印の神子がメインフェイズで死亡した場合でも、シナリオ終了まで生命力0にならなければ功績点は2点あるので詰むことはない。
このシナリオ終了時まで生存は、「熊襲」の生命力0にして戦闘から逃げた場合でも適応される。

導入

セッションが始まったら、以下の台詞を言ってください。(トレーラー?)
「春になれば一面桃色の桜に埋め尽くされる「桜咲の地(おうさきのち)」には、古くから強大な妖魔が封じられていた。
 その妖魔が世界に解き放たれれば、天変地異が起こり、世界が滅ぶ。
 世界が滅びぬよう幾度も封印を重ねてきた「桜印の神子(おういんのみこ)」の一族。
 そして、あなた達は桜印の神子を守る一族の末裔だ。
 封印の弱まりにより再封印の儀式を行うために、あなた達は桜咲の地に呼び集められる。
 儀式の時まであなた達は神子を守り封印の儀式を成功させることはできるのだろうか。
 『徒桜(あだざくら)』セッション開始です」


ここからPC導入になります。
場所や状況は各PCごとに、両親、忍びの上司などに呼び出される演出にしても構いませんし、全PCが桜咲の地に集められ、里の長(翁)から話を聞く演出にしても構いません。
各PCごとに個別で導入を行った場合は、短くてもいいのでマスターシーンで一度桜咲の地に集まり、桜印の神子である「春香」の紹介や、PCの自己紹介やハンドアウトの表の使命の読み上げを行うと良いでしょう。
「春香」と「翁」のハンドアウトの表の使命は、「春香」と「翁」が登場した時に読んで下さい。

ここで語られるのは、「ここ数年世界中で災害が多発しているのは気づいているだろう。それは桜咲の地に眠る妖魔の封印が弱まっているからに他ならない。ついに封印の儀式を行うべき時が来たのだ。決行は、次の満月の夜、月が真上に来る夜半(よはん)頃。それまでお前(PC)達は、封印の要となる桜印の神子(春香)の身を守り、封印の儀式を滞りなく行えるように手を尽くせ」というような内容です。
(※夜半頃というのは、深夜零時前後1時間くらいのことです。
 一応「月が真上に来る」と表現していますが、一番真上に近い冬至の日でなければいけないとかではなく、その満月が一番高い位置に来る時間という意味で使用しています)

PC達は、いずれ桜印の神子を守る存在になると教えられて育てられてきたとしても良いですし、今回初めて探し出されて知ったという形でも構いませんし、あくまで忍びとして任務として来たでも構いません。
また、桜印の神子の「春香(はるか)」と面識があっても良いですし、今回ここで初めて紹介されたという形にしても構いません。(ただし、PC2はここで初対面と演出しても、実は知り合いです)

ここで「桜印の神子の身を守るというのは何からだ」「狙っている者がいるのか」とPCに聞かれたら、「桜印の神子を害する全てからだ」とか「妖魔が関係している以上、何が起こるかわからない」とか「過去には漏れだした妖気により妖魔が現れたことがある」などと答えると良いでしょう。

メインフェイズ開始時

メインフェイズが始まる前に以下のことをPCに伝えましょう。
「今回のシナリオのリミットは3サイクルになり、3サイクルが終了するとクライマックスフェイズに移行します。PCとしてリミットの認識は、次の満月の日までということである程度把握していても構いません」
「メインフェイズでは各PCと同様に、NPCの「桜印の神子 春香(はるか)」と「里の長 翁(おきな)」に対し、判定を伴う行動や戦闘を仕掛けることができます。また、「桜咲の地に眠る妖魔」の「秘密」を調査することができます」
同時に「桜咲の地に眠る妖魔」の表の使命(ハンドアウト)を公開してください。

※NPC「春香」「翁」には情報判定、感情判定、戦闘が行えます。
 「桜咲の地に眠る妖魔」は、秘密の獲得判定のみが行えます。

このシナリオでは「完全なる死亡」が鍵になるので、ここで死亡ルールについて明言しておくと良いでしょう。
ゲームマスターによってどちらのルールを採用するかは変わりますが、
「このシナリオでは、プレイヤーが操作するPC同士の場合、
生命力0になったPC(A)は生命力0にしたPC(B)の取得物扱いとなり、(B)が好きなタイミングで死亡させる宣言をすると、完全なる死亡(キャラロスト)となります。
また、(B)ものちに生命力0にされた場合は、(B)の生命力0にしたPC(C)に、(A)と(B)を死亡させる宣言の権利が与えられます。
なお、NPCに関しては生命力0になった時点で死亡扱いとします」
または、
「生命力0になると完全なる死亡(キャラロスト)となります」

※なぜ、NPCは殺害したい時に殺害できないようにしているかというと、春香を任意のタイミングで殺害できるとすると、クライマックスフェイズで「桜印の神子での封印」を防ぐ術もなく達成されてしまう可能性があるからです。

メインフェイズのマスターシーン①

メインフェイズの1サイクル目終了時に、水面と藤野が翁の屋敷を襲撃するマスターシーンが発生します。
翁の屋敷には、翁と春香が居ます。
PCが翁の屋敷にいるのか、いないのか、このシーンが始まったら確認しましょう。
PCが翁の屋敷以外にいる場合は、「翁の屋敷が妖魔に襲撃を受けています」と報告を受け、行くか行かないか選択してもらってもいいでしょう。

「夜の帳が下りた頃、翁の屋敷である立派な武家屋敷の外で斬撃や悲鳴が聞こえる騒ぎが聞こえた。
 一際大きい轟音と衝撃が空気を震わせ、外に出ると、そこには開かれた門から入り込む二つの影がある。
 1つは小さい少女、もう1つは長身の青年。
 先ほど騒いでいた人々は、その大半が傷つき地に倒れている。
 駆けつけたPC、もしくは翁に対し、青年(水面)が口を開き、「俺は面倒な話は嫌いだ。桜印の神子を差し出せ。そうすればお前たちの命が少しは伸びる」と言う。
 すると、隣にいた少女(藤野)が「水面(みなも)、馬鹿なことを申すでない。そのような提案せずとも、皆殺しにしてしまえばよかろう」と口を出す。
 翁は「妖魔の言葉に貸す耳は持たん。お前(PC)達は、神子を連れて逃げろ」と指示してくる。
 PCが逃げるのを拒否したり、一緒に戦うと言っても、「お前達が一番にするべきことは、神子を守ることだ。早く行け」と恫喝する。
(もし、PCが屋敷に誰も来ていない場合は、部下を呼び、自分で春香を逃がしに行く)
 春香を安全な場所まで避難させることに成功した」

※ここでは、水面と藤野が敵対しており「桜印の神子」を狙っているということが伝われば構いません。

最後に、以下のことを伝えましょう。
「次のサイクルから先ほど登場した妖魔がNPCとして登場し、判定を伴う行動や戦闘を仕掛けることができます。
 二体は「青年の妖魔(水面)」と「少女の妖魔(藤野)」として区別します」

メインフェイズのマスターシーン②

メインフェイズの2サイクル目終了時、3サイクル目終了時に、水面と藤野が春香を襲撃するマスターシーンが発生します。
春香がいる場所に登場するので、翁の屋敷か、外で会う事にあるでしょう。

このシーン(戦闘)は、「春香・水面・藤野の誰かに感情を持っている事での感情乱入」か、「藤野の秘密を獲得している」と、希望するPCは乱入することができます。

この戦闘は、メインフェイズの戦闘扱いとなり生命点が1点でも減少すれば敗者となります。サイクルの扱いは、2サイクル目終了時に起きたシーンは2サイクル目、3サイクル目終了時に起きたシーンは3サイクル目に分類する。(※1サイクルの内1回しか使えない忍法がある場合の線引き)

この戦闘は、特殊ルールとなり、参加したPCの勝利条件は「水面・藤野が2人とも敗北する」となり、水面・藤野が2人とも敗北した時点で敗北していないPCが勝者となります。
この勝利条件や後に説明する敗北条件は、PC(プレイヤー)の目的が「桜印の神子を守るために参加していない」としても適応されます。
(※殆どないとは思いますが、他のPCを攻撃するために参加した、桜印の神子を攻撃するために参加したと言われたり、行動したとしても、変わらないとしておきます)
勝者は、PC・NPC含めた敗北した全PCを対象に戦利品を取得することができます。
(※ルールブック的にはメインフェイズ戦闘は最後の一人になる必要があるが、この戦闘に乱入しかつ勝者になること自体が難易度が高めのため、勝者一人1つずつの戦利品を獲得でいいかと思われます。GM判断で、ルール通り最後の1人だけ勝者にする場合はそうしても良いです)
(なお、感情の共有などの問題で、秘密を獲得する順番が揉める時はダイスを振りましょう)

「水面・藤野が2人とも敗北する」以外の戦闘終了条件は、「春香が敗北する」か、「参加するPC+NPCの人数ターン経過」で戦闘終了となります。
(※この時点で敗北していないPCが存在していたとしても、勝利者はいないものとなります)
なお、春香がこの戦闘で生命力0になった場合、この時点で春香は死亡となります。
もし春香が死亡した場合、プライズ「封印の桜刀」は戦闘に参加したPCの誰かが戦闘後所持する(拾う)ことができます。PCが誰も拾わない、誰も戦闘に参加しなかった場合は、翁の部下が回収し、翁の所有となります。

▽NPC(ゲームマスター)の立ち回り
この戦闘で、藤野は春香を殺す気です。
水面は積極的ではありませんが、封印儀式の連鎖がここで断ち切れるのならば、桜印の神子(春香)を殺しても良いか程度には思っています。
水面、藤野、春香のプロットは、1D6サイコロを振ってランダムに選択しましょう。
水面は、春香>同プロットにいるPC>隣のプロットにいるPCの優先順位で「接近戦攻撃」を行います。
藤野は忍法「万華鏡」を使用し、春香に攻撃します。(春香は生命力は3点しかないので、上手く当たれば2回の襲撃で殺害することが可能)
春香は、水面か藤野のどちらか、自分のプロットに近い方に「接近戦攻撃」を行います。

メインフェイズのマスターシーン③

NPC「春香」が生命力0(死亡)になった次のシーンとして発生します。
PC全員が翁によって屋敷に呼び集められます。
翁は「桜印の神子を失ってしまったな。だが、我らの目的は、封印の儀式を行うことだ。お前達の中には気づいている者もいると思うが、方法はある。お前達も心構えをしておけ」とまだ任務は終わっていないと言います。

※翁は五家の死での封印の儀式を知っているのか?と言う話ですが、PC3に五家を探すよう依頼したのも場合によっては翁なので知っています。
PC3に依頼したのが別のキャラクターなら、ここで「どうにか出来ないか方法を調べておく」「方法を探せ」と依頼するという話にしても構いません。

メインフェイズのマスターシーン④

NPC「春香」が生命力0(死亡)、かつPCの誰かが完全に死亡している場合に、発生します。
残っているPC全員が翁によって屋敷に呼び集められます。
翁は「残念な事に、今回の封印の儀式を行う術が出来なくなってしまったようだ。だが、まだ諦めたわけではない。儀式の日までは、方法を探すつもりだ。万が一がある。お前達も儀式の日まではこの地に留まっておいてくれ」と言います。

※これが発生するのは、メインフェイズでも「PCの生命力0=死」をゲームマスターが選択した場合のみです。

クライマックスフェイズへの分岐

クライマックスフェイズは大きく三つに分岐します。
(※細かい設定などは、別欄記載)

▽条件
①「桜印の神子」が生存している
②メインフェイズ中に「桜印の神子」が死亡している
③メインフェイズ中に「桜印の神子」が死亡している、かつ死亡しているPCがいる
(※死亡しているPCは完全に死亡しているPCがいる場合であり、生命力0になっているだけで殺害宣言していない場合は②になります)

▽内容
①は、「春香」の死亡を「水面」と「藤野」が妨害するために、PC達と対峙する形になります。
 「水面」は「春香」を拘束し攻撃を肩代わりするため動けず、「藤野」はPC達を倒そうとします。
 「翁」が生存していれば、3ラウンド終了時に封印が解かれ「熊襲」が戦闘に参加します。

②は、「翁」が「水面」と「藤野」を追い詰めており、そこにPCが合流するもしくは追い詰めるのに手を貸している形になるでしょう。
 「翁」が生存していれば、3ラウンド終了時に封印が解かれ「熊襲」が戦闘に参加します。

③は、儀式の日に「翁」が襲撃され「封解の玉」が「熊野」に奪われ、「熊襲」の封印が解かれてしまいます。
 PC達は生き残るために「熊襲」から逃げるために戦うことになります。

クライマックスフェイズ① 桜印の神子生存

クライマックスフェイズまで「春香」が生存していると発生します。

夜も更け上がり始めた時は白かった丸い月がはっきりと赤みを持ち始めた頃、PCと春香は翁に呼ばれ、山の奥にある広場、しめ縄が巻かれた桜の巨木の前へと集められた。
翁はPCと春香が揃うと、「よく来た。儀式の時は来た。桜印の神子による封印を執り行おう。春香、お前がするべきことはわかっているな」と告げる。
春香は「封印の桜刀」を取り出しはするが、逡巡しているような様子を見せる。
とその時「させない」という水面の声と共に一陣の風が吹き、春香の姿が攫われた。
消えた春香の姿は探せばすぐに見つかり、水面が春香を抱きすくめるように拘束している。
その隣には藤野の姿もあり、「この女子を死なせる訳にはいかんのが面倒じゃな。まあ良い。水面、貴様はそやつが死なんようにしておれ。わらわはこやつらと遊ばせてもらおう」と言い、戦闘開始。

▽翁がメインフェイズで死亡している場合は、PC達が春香を連れて行く、春香がPC達に連れて行って欲しいと言う形で、舞台となる場所に行ってください。

▽ここで予想される勢力関係は、
「神子を殺されたくないPC2+水面と藤野」vs「神子を殺したいPC1+PC4」
プラス「どちらにつくかプレイヤー次第のPC3」と「全てを敵対視の熊襲」
(PC3も敵対した時に、神子を殺されたくないPC2が圧倒的に不利にならないように藤野と水面はそこそこ強い設定としています)


☆戦闘が始まる時に以下のことを伝えてください。
①この戦闘では、翁は戦闘に参加しません。
②水面は春香を拘束しているため二人共動けないとし、水面と春香はプロット値0固定で攻撃手番は回って来ません。その代わり水面は春香に対してのみ、特別にコスト1かかる「かばう」をプロット値0ですが使用することができるとします。また、この「かばう」はコスト使用扱いではないので、1ラウンド中何度でも使用することができるとします。
③この戦闘では生命力0になれば、即完全なる死亡扱いとします。
また自害、または殺害を受け入れる場合は、攻撃判定なしに生命力が何点残っていても1手番消費で完全な死亡ができるとします。


①熊襲の参戦
翁が「封解の玉」をクライマックスフェイズまで所持していた場合、3ラウンド終了時(深夜の0時ちょうど)に、「もう月が真上に来たか。このままでは埒が明かないな。もう封印を解き放つ」と封印を解き、「熊襲」を戦闘に参加させます。
もしくは、3ラウンドまでに春香が死亡するか、PC4人+水面が死亡し、「封印の桜刀」が真の力を使えるようになれば、翁は「封印の準備が整ったか。あとは妖魔の封印を解き、桜刀で封印を施し直せば儀式は終わる」と封印を解き「熊襲」を参加させます。

翁がメインフェイズで殺害されていれば、そのPCが封印を解くまで「熊襲」は戦闘に参加しません。
※「熊襲」が登場した方が、PCが死亡する可能性が高くなるので、「封印の桜刀」の発動条件を満たしやすくなります。

②リミット
戦闘自体のリミットはありませんが、月が赤くなっている時間(「封印の桜刀」の真の力を発揮できる時間)が決まっており、それは戦闘開始から6ラウンドが終了した時点です。
それ以降は、春香が死亡しても、PC4人+水面が死亡しても、熊襲の封印が出来なくなってしまうので封印の儀式は失敗します。
ここでゲーム終了とするか、それとも「熊襲」の生命力0にして逃亡するのかは、ゲームマスターの判断で決定してください。
「水面」「藤野」に関しては、封印の儀式を行えなくすればいる意味はないので、逃げたにしても構いません。

③春香と水面
水面が春香を拘束しているため、水面と春香はプロット値0固定とし、攻撃手番と回避は回って来ません。奥義破りもしません。(※藤野は奥義破りします)
回避しないかわりに、水面は春香のダメージを肩代わりします。
もし、PCが春香を「かばう」と宣言した場合は、かばうが成功すれば水面へのダメージも無し、失敗すれば水面にダメージです。ただし範囲攻撃などでは、春香にかばうが成功しても春香分だけPCがダメージを肩代わりするので、水面分は水面にダメージが入ります。(※一応水面と春香のダメージは別勘定とする。なので、範囲攻撃を春香・水面共に受けると、水面に2倍ダメージが入る)
水面の生命力0になると、春香は拘束が解除され戦闘に参加できます。
(なお、水面の生命力0になった際のダメージがマイナスになったとしても、攻撃は水面に全て入ったとし、差分が春香に入るということはない。これは最後の一撃が範囲攻撃であっても適応とする)
水面は「封印の桜刀」の真の力が発揮されると吹っ飛ばされ拘束が解除された春香は動けるようになります。その後のラウンドでは春香と水面共に戦闘に参加できます。
なんらかの方法で春香の生命力0になると、水面は拘束するのを辞め戦闘に参加します。(※忍法「かばう」を無効化する忍法などがあれば)


▽NPC(ゲームマスター)の立ち回り
この戦闘ではメインで戦闘するのは「藤野」と、登場すれば「熊襲」です。
プロット値は1D6のサイコロで決定してください。
「藤野」はPCに攻撃します。ただし、春香を守るためにPC2やPC3が妖魔側の味方をするのなら、PC2やPC3を攻撃対象から外しても良いです。「水面」と「春香」には攻撃はしません。
「藤野」と「水面」としては、戦闘でPC4人を死亡させれば勝利ですし、6ラウンドまで封印の儀式を達成されなければ勝利です。
「熊襲」はNPCを含む全てのPCを攻撃の対象にし、一番近いPC、またはサイコロで決めるなどランダムに選んでも構いません。
(※熊襲にとっては、藤野も水面も春香もPC達も違いはありません)

拘束状態が解けた「春香」と「水面」の立ち回りは、
「春香」は、「熊襲」>「藤野」または「殺意を向けてくるPC」に攻撃をします。「封印の桜刀」が真の力を発揮している場合は、奥義を使用し「熊襲」に攻撃を当てに行きます。
拘束解除後にPCからの殺害に応じるかどうかや、上記の「藤野」に攻撃するか「殺意を向けてくるPC」に攻撃するかなどは、ゲームマスターがそれまでのロールプレイや春香の性格を見て判断して下さい。
「水面」は、一番近くにいるPCに攻撃します。

クライマックスフェイズ② 桜印の神子死亡

クライマックスフェイズまでに「春香」が死亡しており、かつPC4人全員と水面が生存していると発生します。
これは、生命力0にはなっているが殺害を宣言されていないPCが居た場合でも発生します。
(※条件は、五家の死での封印が出来る状態です)

夜も更け上がり始めた時は白かった丸い月がはっきりと赤みを持ち始めた頃、PC達は翁に突然呼ばれ、山の奥にある広場、しめ縄が巻かれた桜の巨木の前へと集められた。
そこには結界の気配を感じる者は感じるが、PC達が入る込むのが拒まれることはない。
結界の中心に向かうと倒れている数人の人々(翁の部下の忍び)の中、立っている藤野と水面、そして翁の姿があった。
翁はPC達が揃うと、「来たか。儀式の時に間に合ったな。お前達ももうわかっていると思うが、あの妖魔を殺せ。そして、封印の儀式を完遂するのだ」と告げる。
水面は「まだ諦めていないのか」とあきれたように言い、藤野は「鬱陶しいコバエどもじゃのう。そんなに短い生を終わらせたいのなら、来るがよかろう。皆殺しじゃ」と邪悪にニヤリと笑い、戦闘開始です。

▽翁がメインフェイズで死亡している場合は、五家の最後の1人である水面を探しに行ったら、たまたま封印の地にいるのを見つけたとしても構いません。

▽ここで予想される勢力関係は、
「死にたくないPC4」vs「封印を行いたいPC1、PC2、PC3」vs「皆殺しにする気の水面、藤野」
そして、「全てを敵対視の熊襲」

☆戦闘が始まる時に以下のことを伝えてください。
この戦闘では、翁は戦闘に参加しません。
この戦闘では生命力0になれば、即完全なる死亡扱いとします。
また自害、または殺害を受け入れる場合は、攻撃判定なしに生命力が何点残っていても1手番消費で完全な死亡ができるとします。

①熊襲の参戦
翁が「封解の玉」をクライマックスフェイズまで所持していた場合、3ラウンド終了時(深夜の0時ちょうど)に、「もう月が真上に来たか。このままでは埒が明かないな。もう封印を解き放つ」と封印を解き、「熊襲」を戦闘に参加させます。
もしくは、3ラウンドまでにPC4人+水面が死亡し、「封印の桜刀」が真の力を使えるようになれば、翁は「封印の準備が整ったか。あとは妖魔の封印を解き、桜刀で封印を施し直せば儀式は終わる」と封印を解き「熊襲」を戦闘に参加させます。
そして、翁自身も戦闘に参加し、「熊襲」に攻撃し封印をしようとします。
この時翁は特別に手番を消費せずに、PC4人+水面が死んだ時点で「封印の桜刀」を拾い上げ、次のラウンドで「熊襲」に攻撃を行えます。

翁がメインフェイズで殺害されていれば、そのPCが封印を解くまで「熊襲」は戦闘に参加しません。
また、最後の止めは、翁に頼まれた部下のエネミー下忍「戦闘員」が行おうとします。なお、この「戦闘員」が死亡したら封印失敗です。
※「熊襲」が登場した方が、PCが死亡する可能性が高くなるので、「封印の桜刀」の発動条件を満たしやすくなります。

②リミット
戦闘自体のリミットはありませんが、月が赤くなっている時間(「封印の桜刀」の真の力を発揮できる時間)が決まっており、それは戦闘開始から6ラウンドが終了した時点です。
それ以降は、PC4人+水面が死亡しても、熊襲の封印が出来なくなってしまうので封印の儀式は失敗します。
ここでゲーム終了とするか、それとも「熊襲」の生命力0にして逃亡するのかは、ゲームマスターの判断で決定してください。
「水面」「藤野」に関しては、封印の儀式を行えなくすればいる意味はないので、閉じ込められていた結界が壊れたことで逃げたにしても構いません。

▽NPC(ゲームマスター)の立ち回り
この戦闘に参加するのは「水面」「藤野」と、登場すれば「熊襲」です。
プロット値は1D6のサイコロで決定してください。
「水面」と「藤野」は一番近いPC。もしくは、ゲームマスターが好きなPCに攻撃します。
勝利条件はPCの全滅。もしくは6ラウンド終了までPC4人と水面を死亡させないことです。
「熊襲」はNPCを含む全てのPCを攻撃の対象にし、一番近いPC、またはサイコロで決めるなどランダムに選んでも構いません。
(※熊襲にとっては、藤野も水面もPC達も違いはありません)

クライマックスフェイズ③ 桜印の神子・PCの死亡

クライマックスフェイズまでに「春香」が死亡しており、かつPC4人の内誰か完全に死亡していると発生します。
(※条件は、どうやっても封印の儀式が行えない状態になっていることです)

夜も更けた頃、翁の屋敷では激しい戦闘音が響いていた。
PCが翁の屋敷以外にいる場合は、「翁の屋敷が妖魔に襲撃を受けています」と報告を受けて、翁の屋敷に向かうことにある。
そして、PC達が庭に出ていた翁の元に駆けつけた時には、地に倒れて大量の血を流している翁と、返り血を浴びながら翁の体内から取り出した血塗れのプライズ「封解の玉」を持っている藤野の姿があった。
(※翁がプライズ「封印の桜刀」を所持している場合は、「翁の手に封印の桜刀が握られており、拾えそうです」と伝えましょう)
「汚いのう。最後まで最悪なゴミじゃ。じゃが、これで封印が解ける」と呟いた藤野が、それを空に掲げ力を込めると、「封解の玉」から禍々しい黒いオーラと抜け出した桜色の文字が螺旋を描き、合わさりながら空に昇っていくと、途端に空には暗雲が広がり雷が鳴り地面が揺れ強風が吹き荒れ、禍々しい妖気が周囲に満ちていった。
(※もし、PCが翁の死に駆けつけなかった場合は、この気配に駆けつけることでしょう)
封印を解いた藤野はPC達に勝ち誇った顔をし、「貴様たちも早く逃げると良かろう。まあ、少しばかりその短き命が伸びるだけじゃがのう。どこに居ても、この世界はいずれ滅びるのじゃからな」と言って消えて行った。
藤野を追いかけるという選択もできず、封印が解け目の前に現れた「熊襲」が目についたPCに襲いかかり、戦闘が開始した。
(※この戦闘では、PCと「熊襲」のみの戦闘となり、藤野・水面は戦闘に参加しません。もし、ゲームマスター判断で藤野や水面を参戦させたい場合は、翁戦で負傷したとし1d6生命点減らしても良いです)

▽翁がメインフェイズで死亡している場合は、自然に封印が解けたとして、「熊襲」登場にしても構いません。

▽この戦闘でPCができることは、「熊襲」の生命力を0にした状態で行える逃走を目指すだけです。
熊襲の情報を取得していない場合は逃げる方法もわからないと思うので、熊襲の生命力0になったらPCに「どうしますか?」と聞くとか、救済として秘密公開しても構いません。

【熊襲の秘密参照】
熊襲を倒すことはできないが、熊襲が生命力0になっていると一時的に攻撃や回復ができないダウン状態になる。
この熊襲がダウン状態になっている時に、攻撃手番が回って来たPCは、宣言をすればその時点でクライマックスフェイズの戦闘から離脱(逃走)することができる。
熊襲は生命力0になった時点ではなく、次のラウンド開始時に奥義「不死身」を使用し生命力を回復する。
「不死身」を失敗した場合や、生命力の回復量が0のままだった場合は、ダウン状態が続き、毎ラウンド生命力を回復するまで「不死身」を使用し続ける。
(※この時、オーバーキルで生命力がマイナスになっていたとしても、生命力0から不死身回復分が回復されます)

世界の滅び

クライマックスフェイズで、どの分岐になったとしても、封印の儀式が失敗した場合の結末です。

「あなた達は強大な妖魔から命からがら逃げ出した。
 今は生き残ったが、世界に解き放たれた熊襲のせいで災害が溢れ、数千数万という数の人間が日々死んでいく。
(あなた達が救った春香も、のちに起こった災害に巻き込まれ生死不明だ)
 あなた達の命もいつまでもつかもわからない。
 政府は次の儀式が行える条件を整えたり、新しい封印の方法を模索はしているらしいが、成功するかもわからず、もしかしたら、本当に世界が滅びてしまう日がいつか来るのかもしれない」

このエンドを迎えても、本当の使命「シナリオ終了時まで生存」は達成されるが、封印を達成できずいずれ近い内に死亡するだろうということで、満点にはならない。
(※別欄に書いてある功績点の分配的に言うには、生存の功績点2点だけ貰える扱いです)

ハンドアウト

PC1 推奨:100歳以下。鞍馬神流

【導入】
里の長、または両親、上司などに呼び出され、桜印の神子が行う封印の儀式が近々(3フェイズ終了後に)行われることを知らされ、正式に桜印の神子の護衛兼監視を依頼される。

(他PCや生贄の神子は最初から知り合いでも良いですし、ここで紹介とされても構いません)

【使命】
あなたは桜印の神子の護衛兼監視者である四家の末裔である。あなたの使命は「桜印の神子を封印の儀式の日まで守り抜き、封印の儀式を完遂させること」である。

PC2 推奨:100歳以下。私立御斎学園

【導入】
里の長、または両親、上司などに呼び出され、桜印の神子が行う封印の儀式が近々(3フェイズ終了後に)行われることを知らされ、正式に桜印の神子の護衛兼監視を依頼される。

(他PCや生贄の神子は最初から知り合いでも良いですし、ここで紹介とされても構いません)

【使命】
あなたは桜印の神子の護衛兼監視者である四家の末裔である。あなたの使命は「桜印の神子を封印の儀式の日まで守り抜き、封印の儀式を完遂させること」である。

PC3 推奨:100歳以下。比良坂機関

【導入】
里の長、または両親、上司などに呼び出され、桜印の神子が行う封印の儀式が近々(3フェイズ終了後に)行われることを知らされ、正式に桜印の神子の護衛兼監視を依頼される。

(他PCや生贄の神子は最初から知り合いでも良いですし、ここで紹介とされても構いません)

【使命】
あなたは桜印の神子の護衛兼監視者である四家の末裔である。あなたの使命は「桜印の神子を封印の儀式の日まで守り抜き、封印の儀式を完遂させること」である。

PC4 推奨:100歳以下。ハグレモノ

【導入】
里の長、または両親、上司などに呼び出され、桜印の神子が行う封印の儀式が近々(3フェイズ終了後に)行われることを知らされ、正式に桜印の神子の護衛兼監視を依頼される。

(他PCや生贄の神子は最初から知り合いでも良いですし、ここで紹介とされても構いません)

【使命】
あなたは桜印の神子の護衛兼監視者である四家の末裔である。あなたの使命は「桜印の神子を封印の儀式の日まで守り抜き、封印の儀式を完遂させること」である。

NPCハンドアウト

春香(はるか) 概要:桜印の神子(おういんのみこ)

【設定】
5枚花弁の桜の痣を持って生まれたため、桜印の神子として育てられた十代後半くらいの少女。
本名は、立波 春香(たつなみ はるか)。
世界のために常に監視され監禁状態で育てられており、命を懸けて行う儀式に対しても諦めに近い感情で受け入れている。
(監禁している人間は、昔なら里、現代ならば比良坂機関など)
右手の甲に桜(5枚の花びら)のような痣がついている。
プライズ「封印の桜刀」を最初から持っている。
戦闘能力は、エネミー下忍「蛹(p185)」を使用。ただし、奥義として「範囲攻撃(指定技能 異形化)」を持っている。
(※この奥義は、熊襲に対し「封印の桜刀」で絶対に攻撃を当てる(封印する)ために使用する)

【使命】
桜印の神子と呼ばれている少女。あなたの使命は、封印の儀式を完遂する事である。

プライズ「封印の桜刀」 概要:封印に必要なアイテム

【設定】
春香が所持している封印の儀式で使用する重要アイテム。
桜色の刀身に、桜の花びらのような波紋(すかし)が浮かび上がっている。
赤い満月の夜に生贄の命を吸収することで真価を発揮し、熊襲の封印を行うことができる。
このプライズの秘密は、所持者が任意で公開するか、真の力を発揮した時に自動公開される。
(基本的に「春香」の秘密に書かれていることなので、あえてこのプライズの秘密取得はいらないかと思われる)

【使命】
桜印の神子(春香)が持つ、封印の儀式に必要な神器。このプライズの秘密は所得したPCのみが確認できる。

翁(おきな) 概要:里の長

【設定】
桜印の神子を監視する護衛兼監視者を統括している老人。
名前は長谷川 輝三(はせがわ てるみ)。
桜印の神子の血筋。春香とは遠い親戚。
桜印の神子としての痣は持っていない。
基本的には戦闘に参加しないが、クライマックスフェイズで「封印の桜刀」を使用するキャラクターが存在しない場合は、このキャラクターが熊襲に止めを刺す。
一応戦闘能力は、エネミー上忍「剣仙(p188)」。奥義は推奨奥義。忍法「凶手」を「修羅(p79)」に変更する。(間合いが1しかないと熊襲に攻撃を当てるがぐだってしまう可能性があるので、間合い2の修羅にしました。とはいえ、このPCがクライマックスフェイズの戦闘に参加し熊襲に攻撃を当てなければならないという事態になる事が稀なので、絶対当てるというキャラにはしていません)

【使命】
桜咲の地の里の長である。あなたの使命は、PC達を指揮し封印の儀式を完遂することである。

プライズ「封解の玉」 概要:熊襲の封印を解くために必要な水晶玉

【設定】
桜咲の地に眠っている妖魔(熊襲)の封印を解くための呪印が封じ込められた水晶玉。
ビー玉ほどの大きさの透明な球体の中に、崩した漢字のような文字がいくつも重なるように浮いている。

【使命】
桜咲の地に眠る妖魔の封印を瞬時に解くことができる水晶玉。

水面(みなも) 概要:敵妖魔1

【設定】
熊襲の妖気により生まれた妖魔の1人。熊襲の封印が完全に戻れば形を保てなくなる。
桜印の神子を狙って現れる。
二十代程度の和服を着た青年。
元々は五家の人間であり、一代前の桜印の神子を失い、反逆を企てたことで仲間の手で殺され、妖魔へと堕ちてしまった。
生前の名前は、美月 水面(みづき みなも)。
元五家であり、古文書を調べていたこともあり、封印の儀式の内容には詳しい。(クライマックスフェイズで春香を守ったりするのもそのためです)
戦闘能力は、エネミー中級妖魔「屍群(p195)」を参考。奥義は推奨奥義。
ただし、忍法「飢渇」を「かばう(p81)」に変更する。この「かばう」はクライマックスフェイズに春香を守るためにつかう。

【使命】
PC達の前に現れた妖魔の1人。二十代程度の青年の姿をしている。

藤野(ふじの) 概要:敵妖魔2

【設定】
熊襲の妖気により生まれた妖魔の1人。熊襲の封印が完全に戻れば形を保てなくなる。
桜印の神子を狙って現れる。
十代前半の日本人形のような少女。
人間への恨みによって生み出された妖魔。
本性を現すと、巨大な黒い犬の姿になる。
戦闘能力は、エネミー中級妖魔「妄獣(p194)」を使用。奥義は推奨奥義。

【使命】
PC達の前に現れた妖魔の1人。日本人形のような幼い少女。

桜咲の地に眠る妖魔 概要:桜咲の地に眠る妖魔

【設定】
これは下記の「熊襲」のことである。

【使命】
桜咲の地に封印されて眠っている強大な力を持つと言われている妖魔。

熊襲(くまそ) 概要:ボス

【設定】
封印の儀式によって封印されている妖魔。
自然災害の化身であり、十メートルは超える巨体を持った筋肉粒々の大男の姿で現れる。
腕を振り回せば木々をなぎ倒す竜巻に、足を踏み出せば地を割る地震となる。
真価を発揮した「封印の桜刀」で封印することしかできない半不死の化け物。
封印しなければ世界が滅ぶと言われている。
戦闘能力は、上級妖魔「熊襲(p199)」を参考。奥義は推奨奥義の「完全成功」を「不死身」に変更する。ただし、この「不死身」は通常の不死身とは違い、熊襲の生命力が0になった時点で発動するのではなく、生命力0になった次のラウンド開始時に発動する。
他は推奨奥義使用。

【使命】
世界を滅ぼすこと