一人のシノビがいた。
彼は他のシノビとは異なり高速機動に耐えうる肉体も、先祖伝来の奥義も、得意とする忍法も持ち合わせてはいなかったが、彼には一つの才能があった。取り扱いの難しい儀式忍法を彼は
ただの忍法かのように成立させ、操ることが出来たのだ。
いつしか【天夏】と呼ばれ始めた彼は多くのシノビ達の関心を集めたが、ある日を境に姿を消したことからこう噂されてきた。
曰く、その力を恐れた比良坂機関によって消された
曰く、シノビガミ復活の関与し鞍馬の牢に幽閉された
曰く、天上天下を超える術を生み出そうとしている
そういった噂話もされなくなり、皆が彼を忘れかけた頃のある夏の日。
1つの声明が忍びの世に広まった。
発信者は【天夏】を名乗っており、どうやら自分がこれまで蓄えてきた知恵と鍛えた技術を誰か優秀なシノビに託したいとのことだ。
PCたちはそれぞれの思惑を胸に秘め、【天夏】が指定した街はずれの館へと向かった。