今日は夕月の退院の前日。謂わば前祝として集まることとなった。
あなた達は夕月の親しい友人だ。
シノビとはいえ今は日常に紛れ込んで二人で病院へ向かう。
二人で会話をしている内に綿津見市に到着する。
いつも駅前はそれなりに人だかりが出来ており、人々の賑やかな風景がある。
・・・はずだった。
君たちが駅のホームを降りると、そこには閑散とした風景が広がっている。
人や動物の声、車や機械の音、在る筈であるあらゆる音がそこには無く、これらの音を発する存在はどこを見ても感じ取っても此処にはいなかった。
「綿津見市がゴーストタウンとなった。」
貴方たちは瞬時に状況を把握する事が出来ただろう。
そして、次に思うことは夕月の事だ。一般人の彼の身を案じるだろう。
貴方たちは急いで彼がいる病院へ向かう。
静けさに支配された街を尻目に。
そして、病院に到着し扉を開けた瞬間。
空気は一変する。
扉を開けた先には静かながら日常を過ごす人々の笑い声と人だかりがあり、後ろを振り向けば先ほどの静寂が嘘のように大勢の人々が歩いているのを見る。
ごく普通の風景があった。
そして、その日常の風景の中から二人のシノビが現れる。