魔所霊地。それは、各地にある「魔」の影響の濃い土地。
妖魔や神仏、霊脈や異界遺産。その力の源は様々だが──その何れにしろ、人知を超えた力というのは、そこに踏み入った者に少なからず悪影響を与える。
そのため、その存在の確認された魔所霊地のほとんどは、一般人が足を踏み入れないよう、鞍馬神流の管理下で厳重な封印を施されている。
そんな魔所霊地の一つ、「桜霊苑」。
そこは、季節を問わずに桜の狂い咲く迷宮で、その奥では一人の花守が、死して妖魔となって尚、一本の桜を守り続けている。
桜の季節の過ぎた、春の終わり頃。
鞍馬神流の禁を破り、三人の忍びが桜霊苑に足を踏み入れる。
目的は一つ。花護りの妖魔を、己達の手で倒すことだ。