2.深い闇の中。辺りに満ちる気配の主は夜行性の獣や鳥か、それとも……。
3.どこかで鉄砲の音が響く。音に驚いた鳥たちが、空に向かって一斉に飛び立ってゆく。
4.突然、濃密な靄(もや)が辺りに立ち込める。山の天気は変わりやすい。この靄もすぐに晴れてくれると良いのだけれど。
5.山道を振り返ると、ふもとの村の家から煙がたなびいている。食事の準備だろうか。そういえばちょっと腹が減って来たような……。
6.昼なお暗い山道。木々の高い梢に遮られ、日の光はわずかな木もれ日しか入って来ない。
7.辺りに満ちるのは木の葉や土やコケの匂い。少し離れたところで鳥が鳴いている。今日も山は穏やかだ。
8.美味しそうな木の実(キイチゴ、クワ、サルナシetc.)がなっている。少しばかり失敬するとしようか。
9.小さな沢には澄んだ水が流れている。手を浸せば、水は刺すように冷たい。
10.土地神様を祀る小さな祠の前に出る。この先の無事を願ってお参りでもして行こうか。
11.傍らの草むらでガサリと音がする。咄嗟に音のする方を向くが何もない。一体何だったのか。
12.桶の底が抜けたような大雨。辺りは殆ど何も見えず、足元もぬかるんでいる。仕方ないから止むのを待とうか?