6←
→8
シノビガミ リプレイ『濁流』

ED.エンディングフェイズ

ED-1.黄泉路を往く

シーンプレイヤー:陣華地アヤメ


【サンジェスト】
まずは。死亡組からかな。
【アヤメ】
じゃあ先に。

【アヤメ】
どこでしょう、もう死んでることしかどうにも想像できないので、今まさに黄泉に向かおうと淵に立つあたりくらいしか。
【GM】
なるほど。いいですね。

【GM】
では、後ろから一升瓶片手に呼びかける男の影。
【アヤメ】
じゃあ篝火が倒れたところまで見届けてそれから……振り返りますよ
【GM/罪夜】
「いっちまうのか」
【アヤメ】
「若い者に譲ることくらいは心得てるのさ、誰かと違ってね」
【GM/罪夜】
「耳がいてぇ話だな」
【アヤメ】
「全て上手くとはいかなかったが、結界からも解放された。肩の荷が降りたよ。まさかあんたが封じられた結界をみることになるとは思わなかったねぇ」
【GM/罪夜】
「借り、作っちまったな」頭をかきながら

【GM/罪夜】
「長く生きすぎるといけねぇな。借りがあるやつぁ全員そっちに逝く」
【アヤメ】
「借り?大したことじゃないさ、私もでかい借りを返せないまま逝くんだ。なんて言われるか」まぁいい男だから良いがね、と肩を竦めて

【アヤメ】
「あんたも若いフリは諦めて、早いとこ見切りつけてこっちに来な」
【GM/罪夜】
「はん。まぁだまだ遊び足んねぇんだなぁ、これが!」
【アヤメ】
「ただでさえ騒がしい世の中になったんだ、強い奴を探すなんて駄々捏ねてんじゃないよ……まったく」
【GM/罪夜】
「カッカッカッ!それもこれも全て終わらせるためだ。大丈夫だ。無駄にはしねぇ。胸張って逝けよ」
【GM】
そう言うと踵を返す罪夜。

【GM/罪夜】
「あとは任せろ。俺でも、うちの下の奴らでも」
【アヤメ】
「やれやれ……私もまだ未練があるのかね」名残惜しそうに背中を見つめてから、大人しくあっちへ行きます。
「それにしてもコウメ、か、ますます似ているじゃないか」呟きながら
【GM】
では、そのまま黄泉路を下っていくアヤメを映し、シーンエンドといたしましょう。

ED-2.青薔薇の迷宮

シーンプレイヤー:サンジェスト・バロア


【サンジェスト】
「マドモアゼル……。マドモアゼル……」
と声がします。アヤメさんに。
【アヤメ】
では幽かな声に反応して目をやろう
黄泉路を下っていってるかしら?
【サンジェスト】
アヤメは現実の世界で、サンジェストに抱かれています。
【アヤメ】
?!
【サンジェスト】
血と泥にまみれたその姿は壮絶という形容がふさわしい。
「マドモアゼル。最後の仕事が残っていますよ」
すでにその眼に光はなく。死んでいる。

【アヤメ】
「――これは」動揺しますがなるべく抑えて
【サンジェスト】
そして歩きだします。
「……行きましょう……」

【アヤメ】
「……ああ」やっと意を得たようで苦笑して

【サンジェスト】
すると、 『怪天楽座』の扉に到着します。
「燐火、小梅はすでに外にでたか……」
「……いいですか。マドモアゼル」
【アヤメ】
「それはこちらの台詞だろう、いいのかい」
【サンジェスト】
「まかせてください」
「ベルサイユ忍法!究極奥義・青薔薇想影迷宮」
すると 『怪天楽座』の入口付近に巨大な青薔薇の森ができます。
これで扉を塞ぎます。
【アヤメ】
「やんちゃもまだ残っているからね、最後の仕事だ」印を結びます
【サンジェスト】
アヤメさんの姿を見て。
「……マドモアゼル。あなたはやっぱり美しい」
そして扉がしまる瞬間。

【サンジェスト】
「……燐火。君が見る景色に、花があることを願う」と笑顔が消えます。

ED-3.絶対に大丈夫

シーンプレイヤー:小早川小梅


【小梅】
燐火と絡まずして何がヒロインかっ!
【燐火】
ほう出ればいいのかね篝火でも抱いたまま
【小梅】
いや、そのときでいい。戦闘直後で。

【小梅】
「ねぇ、燐火。」
【燐火】
「…なんだ」
【小梅】
「篝火の魂は、あなたが食べてしまったのよね?」
【燐火】
「ああ」
【小梅】
「・・・だったら、その体は・・・篝火の肉体はどうするつもりなの?」
【燐火】
あっちなみに今の燐火は蔦の模様が一切消えている。
「大地にくれてやるつもりはないな」
【小梅】
「そう。だったら、」
「最期くらい、家族に見守られて逝かせてやってくれないかな?」
【燐火】
「嫌だと言ったらお前は襲ってくるんだろう、わかった」
【小梅】
「・・・ありがとう、ほんとに、ありがとう・・・。」
燐火から篝火の亡骸を受け取るとその場に泣き崩れます。
【燐火】
「きっと篝火もそれを願う」

【小梅】
「・・・ねぇ、篝火。あなたの人生は、とてもとても短かったけれど、」
「あなたは、自分の夢をかなえられたよね?」
「大好きな人のそばで、笑って死ねて・・・これでよかったんだよね?」

【GM】
応える言葉はない。だが、あの最期の時に呟いた言葉。
あなたが伝えた言葉が聞こえた気がした。

【小梅】
「ねぇ、燐火。あなたにもおまじないを教えてあげる。」
「困ったとき、辛いとき、悲しいとき。」
「泣きたいとき、怒ったとき、笑顔になれないとき。」
「そんなときは、一番大好きな人の顔を思い浮かべながら、こう言うのよ。」
「『絶対に大丈夫。』ってね。」

【燐火】
「俺には難しいまじないだな」

【小梅】
「篝火のことが、大切じゃないって言うの?」
【燐火】
「いや」

【燐火】
「ただ今は思い出すには難しいだろうな」
【小梅】
「・・・そっか。」
「ねぇ、燐火。」
【燐火】
「なんだ」
【小梅】
「今は難しいかもしれないけれど、」
「篝火の顔を思い出して、『絶対に大丈夫』っていえるようになったら、」
「篝火のお墓に、来てやってくれないかな?」
【燐火】
「…それはできない」
【小梅】
「どうして?」
【燐火】
「俺にとって篝火の墓は俺自身だからだ」
「俺は篝火を殺したことを忘れない、篝火を喰ったことも忘れない」

【小梅】
「・・・なぁんだ、やっぱり、かなわないか。」
「悔しいな。篝火が一番大切な人は、私であってほしかったのに。」
「いいわ、またどこかで会ったとき、そのとき、私も篝火の笑顔を思い出せると思うから。」
【燐火】
「奪いたくなったらいつでも来い、シノビの技なら俺から篝火を奪い去る方法もあるかもしれない」
【小梅】
「やめておくわ。あなたから篝火を引き剥がすのはかわいそうだもの。」
「そのかわり、篝火の分まで生きてよね。約束だから。」
【燐火】
「むざむざ死ぬことはしない、俺は命を喰らって生きてるんだからな」
【小梅】
「えぇ。それじゃ、またどこかで。」
では篝火の亡骸を抱えて歩き始める。

ED-4.赤に濡れた草

シーンプレイヤー:燐火


【燐火】
小梅がいなくなった後。

【燐火】
「本当は渡すつもりはなかったんだけどな、一滴残らず余すところなく喰らうのが礼儀だから」

【燐火】
と言いながら篝火を貫いた手の血を全部綺麗に舐めとって

【燐火】
「篝火を忘れるわけない、あの笑った顔も泣いた顔も怒った顔も覚悟を決めた顔も…篝火の味も全部」

初めて会った日からの想い出全てを抱えて、燐火はただ誇り高くそこに在った。

【燐火】
「もう離れたりしないからな、篝火」

浮かぶのは彼女のはにかんだ笑みか、覚悟を決めた顔か。

あたりに漂う狐火が揺らいだと思うと、そこには燐火の姿はなく、
燐火の流した赤い涙か篝火の赤い血かどちらかわからぬ赤に濡れた草が残る。
静かな風が吹いていた。

シノビガミ『濁流』 終
6←
→8
シノビガミ リプレイ『濁流』